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『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』さっくり感想3000字

映画 STARWARS

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◆新宿の最速上映に行ってきました

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』がいよいよ公開となりました。スター・ウォーズのカノン(正史)に組み込まれる初の実写スピンオフ作品です。ディズニー傘下での新作『フォースの覚醒』から、2年連続でSWの新作が見られるという異常事態に打ち震えながら、12月16日の日付変更とともに始まる最速上映へと足を運んだのです。

 思い返すのは1年前の2015年12月18日、忘れもしない18時30分から上映開始された『フォースの覚醒』。僕はその瞬間を聖地・日劇にて迎えたのですが、新作を待ち望む劇場内の熱気が、ルーカスフィルムのロゴから「遠い昔〜」、そしてメインテーマとともにロゴがドーン!という一連のシークエンスで歓声や拍手とともに解き放たれる様子は、今でも鮮明に思い出すことができるほどです。

 さて、いよいよ始まった『ローグ・ワン』最速上映。期待と不安に包まれながらその瞬間はやってきたのですが、あれ?意外に盛り上がってない?昨年とは鑑賞している環境が違うとはいえ、ここに集いしは生粋のSW好きのはず……なのですが、上映中に客席が沸くようなことはあまり無かったのです。

 

◆脱・様式美のSWスピンオフ

それもその筈で、もはやSWの様式美ともいえるオープニング・クロールが『ローグ・ワン』にはないのです。オープニングのワーッ!と盛り上がるポイントが単純になくなったのと、意表を突かれたのとで思わず押し黙ってしまいます。クロールがないという事前情報は出回っていたのですが、それでもだいぶ寸止め感がありました。

 お約束を破る、というのはかなり勇気のいる作業ですし、正直オープニング・クロールが付いていたところで文句を言うファンはいないと思うんですよ。20世紀フォックスのファンファーレがなくなっただけでも大事件な人ばかりですから。それでも、あえて外してきたところに、「スター・ウォーズ・ストーリー」第1作としての攻めの姿勢を感じます

 そんなオープニング・クロールに代わって映し出されたのは、惑星ラ・ムーへ向かう帝国軍のシャトルなのですが、ファーストカットではこれが非常に分かりづらい。切り替わった次のカットでラ・ムーには土星のような惑星の環があり、最初に映し出されたのは、環の中を進むシャトルだったのだ、と認識できるのです。そして、このファーストカットの「惑星の環」がとても真っ直ぐに流れているように見えるんですよね。あくまで憶測なのですが、おなじみオープニング・クロールの中を泳いでいくようなイメージでこの最初の画が作られたのではないかと、僕は踏んでいます。

 あと、"タイトルの出し方がカッコイイ映画は面白い理論"からすると、『ローグ・ワン』には花丸をあげたい。冒険を予感させるようなテーマ(スター・ウォーズのメインテーマをアレンジしつつ、本作オリジナルと認識できる)にのせて、タイミングは違えどおなじみのスタイルでドーン!と。いま思い出すだけでも涙が出そうになるくらい爆アガります

このオープニングの他に、『ローグ・ワン』がこれまでの「サーガ」タイトルと明らかに異なっているのが、1本の映画の中での時間の飛躍や回想シーンなど、時系列の操作をしている点です。アバンタイトル(これもいままでからは考えられない表現ですが……)では主人公ジンの幼少期が描かれ、また、劇中でも回想シーンが挟まれます。これにより、作劇上必要な情報がより盛り込みやすくなり、スムーズな話運びが可能になったのではないでしょうか。 

 

◆ドラマはあっさり?チームならず者

いまさらあらすじとかは書かないっす……。
のちに”ローグ・ワン”を名乗ることになる仲間たち、キャラは説明不要なレベルですごい立ってるんです。それもだいたいアクションの中で汲み取れるから、下手なドラマは必要ない。

 ジンは孤独に生きてきたから、たとえ自分を解放してくれるものであっても蹴倒す。でも根っからの性格で、泣いてる子供は見捨てちゃおけない。キャシアンは必要とあらば味方でも殺すプロの軍人。だからこそ、中盤で彼が命令に背くこと、アクションを起こさないことの重大さも引き立ってくる。ベイズとチアルートのこの上ないコンビネーションとそのあとのぶっきらぼうなやりとりは、凸凹コンビながら、長年連れ添った気心の知れた仲というのがよくわかります。ドニー・イェンがやはり宇宙最強なのでは、ということもわかりますよね。

 キャラクター紹介をアクションとともに済ませてくれるので、時間をかけずに仲間が集まっていくのはいいんですが、彼らが一致団結する明確なきっかけを設けて欲しかったというのが率直な感想です。行間から読み取ることは大いに可能なんです。帝国によって皆が共通の喪失感を抱えているとか、ね。それでも何かひとつイベントとしてあったほうがよかったんじゃないかな、と思います。ただでさえ人数多いのに、ジンのパーソナルな問題に時間を割きすぎているような気がして。

 キャラクターたちが魅力的ゆえの「もっと見せろ!」的な不満でもあります。名もなき軍人を描くゆえの、必要な引き算と捉える向きもあるようですが、それなら盲目の坊さん(宇宙最強)とか主要キャラにしないって!

 舞台となる惑星を出しすぎなのも少し気になりましたが、これは噂に聞く再撮影の影響かとも邪推してしまいますね。場面転換として惑星ごと変えるというのは非常に効果的だとは思うんですが、サクサクやられると所々に”つなぎ”感を覚えます。とはいえ、「ムスタファーにそびえ立つヴェイダー卿の城」とかやられると、いいぞもっとやれ!!と思ってしまったり、オタクって面倒くせぇ。

 

◆すべては「新たなる希望」のために

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

本作は「エピソード3.9」などと言われるように、1977年の第1作『新たなる希望』へとつながる物語です。それゆえ、よりシームレスに繋ぐべく美術やVFXなど多くの点で、非常に繊細なこだわりが施されています。中でも最大のネタといえば、やはりCGで蘇ったピーター・カッシングのグランド・モフ・ターキンでしょう。早い段階から登場の噂はありましたが、これほど出番が多く、かつ違和感が薄い仕上がりになるとは。実際には、背格好の似た役者の演技を加工したそうですが。『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密(2011)』くらいの仕上がりだし、「中の人」がいることを考えると現役の役者の仕事を奪うには至らないと思いますが、とはいえすげぇテクノロジーだ。「ご本人」ターキンの登場で本作と『新たなる希望』の繋がりはより強固なものとなりました。

 終盤に向かうにつれ、嫌が応にもストーリーは盛り上がっていきます。初見時は気づきにくいのですが、「ローグ・ワン」の仲間たちが命を賭して起こす行動は、ラストシーンまですべて1本のラインで繋がっているんですよね。それぞれの行動によって送り届けられた「希望」は名もなき一般兵の手に渡り、めちゃくちゃ怖いヴェイダー卿の魔の手をかいくぐって、「彼女」の元へたどり着く。いや、ラストシーンだけじゃなく、『新たなる希望』まで続いているんです

 『ローグ・ワン』鑑賞後に『新たなる希望』を改めて見返したんですが、これがもう全編ウソみたいに面白い。初めて見たかのように、面白さを再発見できるんです。もはや『フォースの覚醒』の新世代には”神話"とまで言われた既存のSWに新たな視点をもたらした、この1点において成功しているだけでも『ローグ・ワン』大いに意義のある作品だと思います。「一番面白いスター・ウォーズは?」と聞かれたら、今度からはこう答えよう。

 

 「『ローグ・ワン』を見たあとの『新たなる希望』だ!

(※褒めてます)

 

 

 

 

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー  オリジナル・サウンドトラック

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー オリジナル・サウンドトラック